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蒼炎22章、敵撃破後。

「お兄ちゃん、早く来て! リュシオンさんが大変なの!」
ミストに呼ばれてアイク達が急いで行ってみると、小さな部屋の中でミストがおろおろしていた。その奥ではリュシオンが石化したように立ちつくし、壁をじっと見つめていた。
「リュシオン? どうしたんだ?」
「…」
答えないリュシオンの代わりに、ミストが言う。
「この部屋に入った途端、ずっとこの調子なの。黙って壁の模様を見つめて…」
「何だ、これは…?」
アイクも壁の模様を見つめた。ところどころに固まって描かれた細かい流線状の模様は、絵というよりは文字に見える。だが、アイクの目にした事のない文字であった。
「これは…古代語です。魔道書の呪文なども、全てこの言葉で綴られています」
「読めるか、セネリオ?」
「ほんの少しなら…」
そう言うと、セネリオは壁に近づき、自分の語彙で読める部分を探して読み始めた。
「これは…………………何と言うか…」
「何だ?」
「…妄想小説、ですね。誰がここにいたのか知りませんが、余程暇だったんでしょう」
「は? 妄想小説?」
「アイクは知らなくてもいい物です」
セネリオはきっぱりとそう答え、壁から視線を外し、リュシオンを見た。
すると…リュシオンの肩がわなわなと震えていた。
「リュシオン?」
アイクが肩を叩こうとした、その時。
「っ……リーリアの、バカっ!!」
リュシオンはそう叫ぶや否や踵を返してアイク達を押しのけ、部屋から走り去った。

「私は兄上にそんな事しないっ!!!!」

と、泣いて叫びながら。

どんな内容だったんだろう。

ファイアーエムブレム::蒼炎・暁 | 2007.06.18 08:14 | comment(0)