(昼間に思いついたチンケな話です。↓)
ある、雪の降りしきる寒い夜の事でした。
その日はクリスマスの前夜という事で、誰もが忙しなく通り過ぎて行きます。
その道の真ん中で、眉間に皺を寄せ、髪に白い雪を積もらせた男性がマッチを売っていました。名前はグウェンダルといいました。
グウェンダルは通行人を呼び止めては、寒さでつやを失った唇を動かして、こう言いました。
「このマッチを買ってはくれないか?」
と。
しかし、通行人の答えは、
「いや…というか…それ、マッチ?」
でした。
グウェンダルの売っているマッチはたった1本だけでしたが、それでも5時間かかっても、買ってくれる人は見つかりません。
それもその筈、そのマッチは普通のマッチではありません。『IQ○プリ』のマッチを遙かに越える、巨大としか言いようのない大きさをしているのですから。
その太さと言ったら枕木並み、グウェンダルのような長身で大人の男性でも、片手では掴めない程太いのです。
「…やはり、こんなマッチが売れる筈はないな…」
グウェンダルはだんだん諦めかけていました。
ですが、売らずに家に帰れば、このマッチの製造者である幼なじみのアニシナが、一体何をするか…想像しただけでも恐ろしい事です。
グウェンダルは冷えた自分の身体にムチを打って、マッチを何とか売ろうと思いました。
(続く)