FE蒼炎&暁・考察というか私見というかツッコミというか


あの人は何の【印付き】か
・始めに
 ゲーム中で【印付き】のキャラクターは何人か登場するが、その中の一人に、ゼルギウスがいる。蒼炎の時は、プレイヤーの半分が暁発売時まで忘れ去っていたに違いない程の存在感しかなかった彼も、暁ではキャラクターとして大出世を遂げた。
 そんな彼は一体、どの種族のラグズの血を引いているのだろうか。

 では、種族特定の根拠を何にするかだが…ここでまず、ゼルギウスの印の形状を考えてみる事にする。
 ゲーム中のイラストで、彼の印は背中にあるのだという事が確認出来る。左の肩胛骨の上ぐらいにあるのだが…筆者は正直、何をモチーフにした印なのか、まるで見当がつかない(尾の長い鳥に見えなくもないのだが…)。
 この為、印の形状のみで種族を特定するのは断念し、他の可能性も探る事にした。

 次に根拠になりうる可能性があるのは、【印付き】のキャラクターが持つ能力だ。
 【印付き】が先天的に特殊な能力を持っているということは、ゲーム中で明言されている。この能力は、種族と何か関連性があるのだろうか。、あるとすれば、その能力の違いを、種族の特定に繋げる事は出来ないだろうか。

 その為に、ゼルギウスを除いた【印付き】5人の特徴をまとめ、各々の能力と種族との関連性について推察していく。


・セネリオの場合
  クラス : 魔道士(蒼炎)、風の賢者(暁)
  ラグズの血の種類 : 竜鱗族・黒鱗
  印の位置 : 額中央部

 セネリオの能力で目につくのは、魔道の才能と、頭の回転の速さである。前者は風魔法を操る能として表れ、後者は軍師としての能に表れている。
 彼は竜鱗族の血をひいているが、その事は、これらの才能と何か関係があるのだろうか。
 竜鱗族は大陸最強の種であり、仲間の気を察する能力に長けている。しかしそれらの特徴が、セネリオの才能に反映されているようにはあまり見えない。
 セネリオが竜鱗族の【印付き】である事を何より如実に示しているのは、彼の印の形状だろう。ゲーム中に登場する竜鱗族は、総じて何らかの赤い印を頭部のどこかに持っている。この事を根拠にセネリオは自分が竜鱗族の【印付き】という推論を立て、ゴルドアの領海では引きこもっていたのかもしれない。だが、その話題は話が逸れるのでまた今度。さ、次。


・ソーンバルケの場合
  クラス : ソードマスター(蒼炎)、剣聖(暁)
  ラグズの血の種類 : 獣牙族・獅子
  印の位置 : 左こめかみ

 ソーンバルケの能力といえば、まず剣の才が挙げられる。蒼炎では幸運の初期値の低さが困りものだが、暁では終盤参加という事もあってか、かなり強化された状態で仲間になる。
 暁EDで「獅子の末裔」とあるところから、ソーンバルケはどうやら獅子の【印付き】であるらしい。獅子のラグズといえばカイネギス・スクリミル・ジフカだが、彼らは剣士系の「力はないが、素早さに優れ必殺率が高い」というイメージにそぐわない。よってソーンバルケの剣の才には、種族の特徴との共通点をあまり感じない。それでも、彼の剣の才能と種族との関連性を否定する事は出来ないが。
 ならばソーンバルケの性格に、獅子らしい要素は何かないのだろうか。
 ライによると、獣牙族は「戦いだしたら目の前の敵を倒す事しか考えられず、おいそれとは止まらない」種族なのだそうだ。だが、ソーンバルケの言動は大抵冷めていて、彼の情熱を感じるのはせいぜい【印付き】に接した時と、自分たちの事を語る時ぐらいのものである。彼が戦場でバーサーカー状態になるという設定はないし、そういう性格にも見えない(と言うか、そんな性格だと烈火のカレルとキャラが被ってしまう…)。よって、性格も獅子らしくない。
 ところで、ソーンバルケの特殊能力といえばもう一つ、「砂漠の下から現れ出でる」というものがある。超人的にも程があるだろうこの能力が、獅子の血をひいているという事と関連があるかどうかだが…獅子が砂の中で呼吸出来るなんて聞いたこともない。本当はソーンバルケって、モグラの【印付き】なのではないだろうか。


・ミカヤの場合
  クラス : 光魔道士(暁)
  ラグズの血の種類 : 鳥翼族・鷺
  印の位置 : 右手の甲

 ミカヤの特殊能力は多い。
 まず、【癒しの手】である。相手の傷を癒す代わりにミカヤ自身の体力を削ぐ、という能力で、ミカヤ固有のスキルでもある。この能力は、白鷺のスキル「空の祝福」のベオク版だろう。白鷺は【正】の気が極端に強く、その気で相手を癒す事が出来る。だがベオクの血が混じっているミカヤは【正】と【負】を合わせ持つ為、自らの体力を削がなければ相手を癒せない…ということではないかと、筆者は考える。
 次に、危機を察知する力である。頭の中に危機を知らせる声が聞こえる、という能力だが、この声とはユンヌの危機を知らせるお告げであり、彼女が女神の声を聞く神使としての力を備えている事を示している。神使がすなわち鷺の【印付き】であった事は、言うまでもない。
 他は、相手の心を読む力である。これはそのまま、鷺の固有能力と同じである。
 以上の様に、ミカヤの特殊能力には、彼女が鷺の血を引いているという事がかなり反映されている。また彼女の性質についても同様で、ゲーム中の序盤でも「森の中にいる方が気分がいい」という本人の言があるくらいだ。右手の印も、いかにも鳥っぽい形状をしている。
 だが、筆者は彼女の性格の方にも、鷺の血の特徴を感じる。
 鷺の性格に共通するのは一つ、「初志貫徹」である。彼らはこうと決めたら絶対譲らず、何が何でもやり通そうとする。しかもその時の感情に従って行動する傾向がある為、彼らを理論で説得することはほぼ不可能と言ってよい。おそらくは、自分にさえ嘘をつけない、という事なのだろう。
 筆者の見る限り、ミカヤもこういう性格である。彼女は一度やると決めた事は何がなんでもやってしまう。対ラグズ連合の戦は、「嫌だけど、デインの為にやるしかない」と言い、そして実際に火攻めまでやろうとした。これはデインを思う感情に従って行動した結果だろう。それでいて、サザを人質に取られた時はサザを見捨てられず、攻撃を中止させる命令を下してしまう。
 …鷺っぽい。この性格はものすごく鷺っぽい。


・プラハの場合
  クラス : パラディン
  ラグズの血の種類 : 不明
  印の位置 : 右胸上部?

 プラハが【印付き】だというのは、セネリオとの戦闘会話で明らかになる。
 彼女と獣牙族のユニットを戦闘させると、「あたしがこの世で一番嫌いなのは、お前ら獣の半獣さ」という発言が出るので、プラハは獣牙族の血をひいているのかもしれない(フレイムランスを振るう理由もそれだろうか?)。
 プラハの右胸の上部には、緑色の印のようなものがある。これが彼女の混血の印なのかもしれないが、いかんせん、そうだとはっきり明言されていない為に何とも言えない。
 そして彼女はあの性格とフレイムランス以外に特徴がなく、特に強いユニットでもない為、どんな特殊能力を持っているのかすら筆者には分からない。


・エイミの場合
 エイミが【印付き】だという事が分かるのは、彼女が裁きの光に当てられても石化しなかった事による。どうやら【印付き】は女神の理から外れた存在の為、裁きの対象にならないらしい。
 エイミが何のラグズの血を引いているのかは、推し測る材料が全くと言ってよい程ない為、不明なままとする。


 以上の事から、【印付き】キャラクターとラグズの血の関連性には、様々なパターンがある。
 どうやら、印と血との関連性は多様なかたちで表れる様だ。
 では、ゼルギウスの場合はどういうかたちなのだろうか。


・ゼルギウスの場合
  クラス : 将帥
  ラグズの血の種類 : 不明
  印の位置 : 左の肩胛骨周辺

 ゼルギウスの特殊能力は、やはり、あの並外れた強さしかないだろう。あのティバーンに勝るとも劣らない程に強いのだ。彼があの重そうな鎧でのっしのっしと歩いてみせている姿を見た時には、何故自重で潰れないのだろうと筆者は思った。
 性格については…彼は堅くて真面目で、上官の指示には絶対従う。冷静な観察眼で戦況を見極め、無駄な殺戮を厭う。

 そんなゼルギウスの印は、鳥に似ている。印の位置が肩胛骨の上、つまり翼の付け根だというのも、意味ありげな点ではある。
 だが、彼が鳥翼族の【印付き】だとしても、少なくとも鷺の血ではない様だ。ゼルギウスの印はミカヤのそれと全く似通っていないし、彼女と同じような能力を備えているという描写もない(備えていないという描写もないのだが、あの屈強なゼルギウスが鷺の【印付き】というのは、あまりにもイメージに合わなさ過ぎる)。
 また、彼のパラメータは力:31、魔力:18、技:35、速さ:28、守備:30、魔防:24(※ユニットプロフィールより)となっている。力・技に優れるが速さが少し劣る。というのは、鳥翼族より獣牙族っぽいパラメータだ。
 だが、彼のクラスは将帥である。将帥と言えばアーマー系。守備が高く速さが少し劣るというのは、アーマー系の典型的な傾向だ。むしろ、あの鎧で速さが28もある方がすごいと筆者は考える。ティバーンの初期値より高いではないか。

 印の形状・位置は鳥翼族っぽい。だが能力は獣牙族っぽい。
 …ならば性格はどうだろうかと考えた時、彼の嗜好に関するある重大な事実に筆者は気づいた。
 すなわち、鷺好きである。
 孤独から逃れる為にセフェランの手足となったゼルギウスだが、これは単なる契約関係だけではない。少なくともゼルギウスにとっては。
「貴様如きが、我が主の名を汚すことは許さん」、「全て貴方のお心のままに」……これらの台詞から、ゼルギウスがセフェランに並々ならぬ忠誠心を抱いている事は容易に伺えるからだ。セフェランの何がそんなに好きなのかは知らないが。

 鷺といえばテリウス大陸のアイドル的存在で、特にベオク・ラグズ問わず王族に大人気である。だがその中でも、ティバーンとネサラの鷺大好きっぷりはつとに名高い。ニアルチも鷺兄妹を可愛がっているし、ヤナフ&ウルキはさり気にリュシオンと絆支援の仲だ。
 鳥翼族はみんな鷺が大好き。ならばセフェラン大好きのゼルギウスは、鳥翼族の【印付き】ではないだろうか。印の形状も鳥に似ているし、力より技のパラメータが良いというところも鳥翼族らしい特徴だ。

 もし鳥翼族だとすれば、彼は鷹と鴉のどちらの血を引いているのだろうか。
 …と考えたら、鴉よりは鷹であってほしい。いや、筆者は鷹も鴉も好きなのだが、ゼルギウスのイメージを考えると…裏切りを気質とする鴉よりは、無駄なまでに熱い鷹の方であってほしいのだ。

・結論
 ゼルギウスは、(おそらく)鳥翼族の【印付き】、それも鷹の【印付き】(であってほしい)


・最後に
 …まさか、ゼルギウスについてここまで真剣に考える日が来るとは思わなかった(遠い目)。
 実は前の考察もどきを書いた時、次の考察のネタはセネリオ関連にしようと思っていた。だが彼は人気キャラなので、私が今更何を語ろうと全て既出だろう予感がした為、やめにした。
 鳥翼族が好きなのだから素直に鳥翼族関連についてやっていくのが良いし、一番楽しいかもしれない。