FE蒼炎&暁・考察というか私見というかツッコミというか


白鷺兄妹と【解放】の呪歌
・そもそもリーリアは何故【解放】の呪歌を伝えさせたのか
 これは当然【解放】の呪歌がなければ、もし女神アスタルテが復活した際、裁きを下す前に言い分を聞いてもらう事が出来なくなるからだと思われる。
 という事は、リーリアはメダリオンに封じられている邪神が何であるかを知らされていたという事になる。おそらく彼女にそれを教えたのは、父のロライゼ王だろう。
 すると、ラフィエルはこれを知っていたのだろうかという疑問が湧くが、知っていればとっととアイク達に話した事だろう。
 つまり、彼はこの事を知らなかったという事になる。


・何故、ラフィエルはメダリオンの秘密を知らなかったのか
 ゲーム中の設定から考えて、だいたい、年長者の方が呪歌謡いとしての能力が高いと判断される。
 リュシオンとリアーネは二人がかりで、それも【正】の気が強い場でなければ、【再生】の呪歌の効果を発揮させられない。
 しかしラフィエルは一人で【再生】の呪歌を謡える。よって、一番呪歌謡いとしての能力が高いのはラフィエルだと見なすことが出来る。
 つまり、もし何事もなかったならば、ラフィエルが次のセリノス王位を継いだ可能性は非常に高い。
 ラフィエルとリーリア、どちらが年上かという事はゲーム中では明言されていなかった様な気がするが(※2007/06/25注記:用語集によるとラフィエルが第一王子、リュシオンが第三王子とあるので、リーリアが第二王女の様です)、ラフィエルはゲーム中では大虐殺の半年前に奴隷狩りに攫われている。
 すると、次に王位が回ってくるのはリーリアかリュシオンという事になる(セリノスの王位を継ぐのは男性だけだという記述はゲーム中のどこにもないので、リーリアも候補に入るだろう)。
 23年前のリュシオンがベオクでいえばどの位の年頃だったのかは、ぶっちゃけ鷹鷺好きの筆者が知りたいぐらいなのだが…その後フェニキスでティバーンから性格形成に影響を受けるくらいなので、割と幼かったのではないかと思われる。
 なので、ロライゼがこの頃王位を子に譲る事を考えたとすれば、年長者のリーリアを候補として想定した可能性はある。まあそれよりもラフィエルを捜した方が良かったような気がするが、ベオクに攫われては捜しようがなかったのかもしれない。
 おそらく代々、セリノスの王位と共にエルランのメダリオン、そしてそれの秘密が受け継がれていったと思われる。重要なものを重職が管理するのは、ごく自然なことだからだ。
 なのでロライゼがリーリアに国を任せようとしていたなら、彼女にメダリオンの秘密を託したことだろう。
 そしてラフィエルがメダリオンの秘密を知らなかったのは、それを知らされる前に攫われてしまったからだろう。


・リュシオンとリアーネはメダリオンの秘密を知らなかったのか
 ずばり、ラフィエル同様知らなかったと思われる。
 もし知っていれば、【解放】の呪歌の意味をアイク達に話す筈だからだ。
 しかしゲーム中での記述から考えて、リュシオンは、以下の7点までは知っている様である。
  ・メダリオンは一族の宝
  ・メダリオンの名前は「エルランのメダリオン」
  ・メダリオンには邪神が封じられている
  ・メダリオンの邪神は【解放】の呪歌で復活する
  ・【解放】の呪歌を謡えるのはオルティナの名を持つ娘のみ
  ・メダリオンの邪神を復活させてはいけない
  ・メダリオンの炎は【微睡】の呪歌で落ち着かせる事が出来る
 ただ、彼がこれらをいつ知ったのかは不明である。リーリアが壁に残した文章から読み取った可能性もある。
 ちなみにリアーネがこれら全てを知っているかどうかは定かではないが、最低でも暁の時点で【微睡】の呪歌だけは知っている筈である。


・リーリア以外にメダリオンの秘密が知らされなかった理由とは
 エルランとオルティナの経緯を考えれば、メダリオンの秘密に絡まる事情は公に出来ないものだと容易に想像が出来る。
 よって、一子相伝という形を取ったのだろう。


・オルティナの子孫でなければ【解放】の呪歌の効果を発揮出来ない理由とは
 多分、「オルティナの子孫」というよりは、「エルランの子孫」といった方が正しいのだろう。勿論、公にそう言う訳にはいかなかったのだろうが。
 しかし、何故、エルランの子孫でなければいけないのだろうか。呪歌謡いとして他にも色々な呪歌を謡える鷺の方が、効果が高そうな気がするのだが。

 筆者がまず想定したのは、
 「実は、【解放】の呪歌はエルランが作詞作曲した」
 という理由だ。
 そういう理由なら、彼の子孫にしか謡えないというのも納得がいくが…しかし、いくら何でもこれはないだろう。
 エルラン達はアスタルテの前でユンヌの処遇を話し合った挙げ句、その場でユンヌの封印を決めている。もしこの時点で【微睡】の呪歌と【解放】の呪歌の二つが既に存在していなければ、これ程行き当たりばったりな決定もない。そして、そんな決定をアスタルテが受け入れるとも思えない。よって、この理由は除外される。

 ここで注目すべきなのは、「エルランの子孫の【印付き】は、女神アスタルテの声を聞く能力を備えている」という点だ。
 【印付き】が特異な能力を備えていることは、ゲーム中で明言されている。
 しかしなぜ、エルランの子孫の【印付き】は、女神の天啓を受ける力を持っているのだろうか。
 アスタルテの口ぶりから察するに、彼女はエルランを気に入っていると思われる。
 ユンヌもおそらくそうだろう。自分の命を救ってくれた存在なのだから。
 アスタルテ&ユンヌ−エルラン間のこの繋がり。これが血に流れて伝わっている為に、エルランの子孫の【印付き】は女神の声を聞けるのではないだろうか。

 そうすると、
 「【解放】の呪歌は、エルランの子孫が謡わなければ効果を発揮しないものである」
 というよりは、
 「エルランの子孫が謡う【解放】の呪歌でなければ、女神は復活する気にならない」
 というのが正しいのではないかと、筆者は考える。
 すなわち、【解放】の呪歌の効果は女神復活だけに限定されたものではなく、他にいくらでもある。
 しかし女神を復活させる効果を持つのは、エルランの子孫が謡った場合だけである。理由はエルランが女神の寵愛を得ていたから。
 以上。


・最後に
 長ったらしいこの考察を書きながら、つくづく私は思った。リーリアは背負うものが多かった、と。
 うっかりラフィエルが攫われてしまったばかりに、またそのタイミングが悪かったばかりに、メダリオンの秘密を託された。
 その後、セリノスの大虐殺で彼女は天涯孤独に(正確には違うが)。
 そして最悪な事に同族に利用され、危ないグルグラント野郎に引き渡されて監禁される。
 しかし一族が失われた以上、せめてエルランの子孫に【解放】の呪歌を託し、メダリオンを隠すまでは、死ぬに死ねない。何も知らなければ知らぬ存ぜぬで通せたものを、知っていたばかりに、自殺も出来ない(女神の禁忌だけどな…)。
 …なんか泣かせる姉さんだ。ゲーム中で顔が出ないというところがもっと泣かせてくれる。