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暁現代パロ(20):俺と姉貴と父と義父・11

10の続きです。

続き

ミカヤによる説明は次の通りだった。

 不良からペレアスさんを救う
  ↓
 その時たまたまミカヤが持ってたBL本に、ペレアスさんが興味を示す
  ↓
 読ませてみたら好評だったので、更に読ませる
  ↓
 なんか自然に交際開始

「いやーおかしい、何か色々とおかしいだろ、このフローチャート! おかしい所が多すぎてツッコミが追いつかないけど、とにかくおかしい!」
「おかしくないわよ」
「おかしいよ! 一体どんな洗脳したんだよ!?」
「ほんとに洗脳なんかしてないったら、ペレアスさんに関しては
…それはつまり、他の事例はいくらでも…いや何でもない、気にしたらこっちの負けだ。
「どうもね、ペレアスさんのお父様ってそっちの人らしいのよ。まあ、お母様のほうがそう言ってるだけで、はっきりした証拠はないらしいんだけど…」
それがきっかけで、男同士のほにゃららに関心を持つようになった…というわけか。でも、方向性を間違っていると思うんだけどなあ。
「…ミカヤ、一つ聞くけど…ミカヤって、ペレアスさんのこと…好き、なんだよな…?」
「好きよ? だってすごく可愛いんだもの。うふふふふ」
その笑い、むっちゃくちゃ怖いんですけど。
ミカヤに彼氏が出来るのは、多分これが初めてだ。見た目と愛想だけはすごくいいから、昔からやたらとモテていた。俺の同級生にも信奉者が沢山いたし、学外でもかなり人気があったらしい。
けれど当のミカヤは理想が高いのか、片っ端から自分に言い寄る男を振っていた(振ってから洗脳して信者にしていた)みたいだけど、ペレアスさんはお眼鏡にかなったらしい。
彼氏というより、愛玩動物か下僕の間違いじゃないかと言いたかったが、何か後が怖いので言わずにおいた。
さっさとミカヤの方が飽きてくれることを、切に祈るばかりだ。

で、その後はというと。
ミカヤとペレアスさんは順調に交際を続けている。今日もうちにやって来て、ミカヤの部屋でゲームとやっている。BLゲームなんかやったらどうしようかとこっちが心配していたんだが、どうやら二人がやっているのはホラーゲームらしい。ペレアスさんは明らかにそういうの苦手そうなのに、ミカヤ…わざとだな…。
一方、俺の部屋にはトパックが遊びに来ている。遊びにっていうか、受験勉強。俺もトパックも、高校は今いる学校の高等部に進学する予定だ。
「うるさくて悪い、トパック」
「ん? おれは別に気になんないけど。ああ…それとも、おれの家の方が良かったか?」
「いや、お前が気にならないなら別にいい」
トパックの家で勉強するのは、なるべく避けたい。ムワリムさんが目に見えて落ち着かないからだ。俺達にお構いするかしないか悩み、少しの音も立てないように静かに移動するムワリムさん。受験生とはいえ俺達にそこまで気遣わなくてもいいから、家事でも何でも好きなようにやってくれればいいのに。深夜勤務なんだからさ。
…万が一にもトパックが受験に落ちたら、本人以上にムワリムさんが落ち込みそうだ。そして何故か、自分のせいで坊ちゃんが…とか言い出すんだろうな。俺の方は…ゼルギウスさんが一番落ち込みそうだな。ああ、具体的な光景が目に浮かぶ…。
「おれさあ、高等部入ったらバイトしようと思ってんだ。今ある遺産、これ以上食いつぶすのもどうかと思うし、少しでも早いうちから社会勉強しておきたくてさ」
「ふーん、いいんじゃないか?」
「サザは?」
「俺もバイトしようと思ってる」
具体的にどんな業種にしようかまだ決めてないけど、ミカヤの魔の手から逃げる計画の為には資金が必要だ。高校のうちからバイトして、少しでも貯めておきたい。
「じゃ、一緒にやんねえ?」
「いや、やめとく」
「えー、何でだよ」
こいつが落ち着きのない性格だから…っていうのもあるが、バイトの事はミカヤには隠しておきたいからだ。トパックに喋ればすぐミカヤにバレる。そうしたらミカヤはきっと、俺の思惑に気づいてしまうだろう。
バイトの事は、保護者の父さんには隠しておけないだろうけど、その時の言い訳はそれらしいものを予め考えてある。どうにか…なればいいなあ。

午後五時を過ぎた頃、トパックとの受験勉強はお開きになった。それと大体同時にペレアスさんの方も帰る事にしたようで、俺がトパックを玄関先で送り出したところで、帰宅するペレアスさんと鉢合わせた。
ペレアスさんには迎えが来ていた。黒塗りの車をうちの前の道路に停めてペレアスさんを迎えたのは、浅黒い肌の色に癖毛の、美形の男の人だった。ペレアスさんの紹介によると、名前はナーシルさん。ペレアスさんの実家に奉公しているらしい。今はペレアスさんの実家を出て自営業を始めたそうだが、ペレアスさんの実家の方には今も出入りしているそうだ。
「失礼ですが、どんなお仕事をなさっているんですか?」
ミカヤがそう聞くと、ナーシルさんは薄く微笑んでこう答えた。
「探偵業ですよ。ああ、これは名刺です。どうぞ」
わざわざミカヤだけではなく俺にまで名刺をくれた。ほんとに『探偵事務所』って書いてある。

後で考えると、こんなあっさりとしたものだったんだ。
俺と、ナーシルさんの出会いというのものは。

ファイアーエムブレム::暁現代パロ | 2010.03.21 20:57

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