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暁現代パロ(19):俺と姉貴と父と義父・10

9の続きです。

続き

「一体、いつの間にミカヤとそんなに仲良くなったんだよ」
「お前んちに電話した時かなあ。五月末…だったかな。お前風呂入ってたんだけど、もうすぐ上がるからってミカヤが言うから、お前が来るまでミカヤと喋ってたんだ」
…うかつだった。
今までこの親友を姉に近づけないよう注意していたというのに…すでに毒を打ちこまれていたとは!
「サザ。お前さぁ、深刻に考えすぎだよ。こんなのフィクションじゃんか。それに、結構面白いぜ? これとか」
トパックはそう言いながら、机の引き出しからビニール袋に入った四角い何かを取り出した。
中身は本だ。表紙は見えなかったが、背表紙のタイトルを読んだ瞬間、俺はその本の中身を理解した。
…こういう本って、どうしてタイトルや表紙が露骨なんだろう…分かりやすいけどさ…。
「これ、この間ミカヤが借してくれたんだけど、意外と面白かったぜ。ミカヤには、俺からお前に勧めてくれって言われたんだけど…」
「読みません」
俺は即答した。
別にこういう趣味が悪いとは言わない。余程危険なものじゃない限り、どんな本を読もうが個人の自由だと思う。…思想・表現の自由だったか? とにかく、そういうやつ。
ただ俺は…ただ俺だけは、あの家でまともでありたいんだ!

「何よそれ、わたしがまともじゃないって言うの?」
帰宅して早々、自分の部屋で雑誌を読んでいたミカヤに文句を言ったが、反応はこの通りだった。
「トパックに変なこと教えるなよ! あいつは純粋なんだから」
「あらそう…つまりサザとしては、トパック君を清らかなままにしておきたいのね…そして程よく熟れたところを見計らって、自分がパクっと
「しないよ! 変な妄想すんなよ!!」
父さんはまだ帰ってきていない。ゼルギウスも俺と入れ違いに買い物に出て行った。
「…そういや…あの人は?」
「ペレアス様ならもう帰ったわよ」
「ふうん…あの人、ミカヤの彼氏?」
「そうよ」
やっぱりか…なんて可哀想な人だろう、こんな女の彼氏になるとは。
「あの人、同じ大学の人?」
「ううん。駅裏で不良にカツアゲされてたところを助けに入ったのがきっかけで、知り合ったの」
「えっ、なっ…おい、危ないことするなあ。ミカヤ、怪我とかしなかったのか?」
「全然。たっぷり泣かせて地面に這いつくばらせて『ごめんなさい女神様』って百回ぐらい言わせてやったわ。その後警察に突き出したんだけど…何かその頃には全員心神喪失状態になってて、そのまま病院に送られてたっけ」
「一体何やらかしたんだよ!?」
「別に? ペレアス様には感謝されたわよ、『助けてくれてありがとう』って」
どんな人柄なのか知らないが、よくもまあこんな女と付き合う気になったものだと俺は思った。たぶんマゾなんだろうなぁ。
「わたしより一歳下なんだけどね、ご両親が離婚調停中で、二人の間でペレアス様の親権を取り合ってる最中なんですって」
何でも、ペレアスさんの父親は海外在住の会社社長であり、跡継ぎとなる息子に帝王学をたたき込みたいのだという。
しかし母親はこちらに住んでおり、息子と共に暮らしながら、実家の仕事を手伝ってほしいのだという。
当のペレアスさんは大学に進みたいのだそうだから、何とも面倒なことである。
なお、現在ペレアスさんは母親の実家に世話になっているそうだ。
「その実家っていうのが、すごいのよ。華道の名門で、大きくて立派なお宅だったの」
つまり、世間知らずのお坊ちゃまか…それなら、ミカヤみたいな女に引っ掛かるのも無理はないか。
「あのさ…ペレアスさんは、ミカヤの趣味知ってるのか?」
「趣味って、これ?」
ミカヤは引き出しの中から薄い本を取り出した。
「そうそれそれ。っていうか、あんまり見せなくていいから…」
「知ってるわよ。これがきっかけで親しくなったんだもの」
なんですと!?

まだ続きます。

ファイアーエムブレム::暁現代パロ | 2010.02.23 19:38

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