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暁現代パロ(11):僕とあなたとそれ以外・3

ラブコメ風味。
でもアイセネではありません。
 
続き
 
ぴんぽーん。
グレイル道場の玄関のベルを押したキルロイだったが、誰も応対に出てくる気配はなかった。
留守なのかなあ。そう思ってもう一度押しても、やはり誰も出てこない。
道場の方を見てみようと思い、彼は家の回りを回って道場の出入り口の方に移動した。
普段はここでグレイルがアイクに稽古をつけていて、セネリオがそれを端で見ていて、ミストが外で洗濯した道着を干している。しかし今日はその光景はない。戸が開きっぱなしのままの道場は無人で、洗濯したばかりの道着だけがひらひらと物干し竿で揺れていた。
戸が開けっ放しという事は、留守番が誰かいる筈だ。そう思ったキルロイは道場の中を覗き込んで、
「あ、あのー…誰かいるかい?」
と、平生より少し大きな声で呼びかけてみた。
しかし、やはり返事はなかった。
どうしよう…そう思いながら彼は、両手に抱えた段ボールを見下ろす。中身は蜜桃だ。食べきれないのでお裾分けにやってきたのだが、誰もいないとなると、どうしたら良いのだろう。オスカー達のところに先に持っていこうにも、彼らも留守だったのだ。
「…えっと、お、お邪魔します」
キルロイは少し迷ったが、思い切って道場に上がる事にした。お互い近所馴染みの気安さで家にちょくちょく出入りし合っている。勝手知ったるとはいえども、家人の了承も得ずに上がり込むのは、やはり気が引けるものがあった。
「誰かいないのかい?」
キルロイは道場の中でもう一度呼びかけ、それから渡り廊下を歩いて母屋の方に移動した。母屋は静まりかえっていて、本当に人気がない。しかし玄関に回ってみると、鍵がかかっていなかった。グレイルやアイクはともかく、それ以外の家人は、鍵をかけずに外出するような抜けた性格ではない筈だ。
「誰か…」
キルロイが洗面所の前を通り過ぎながらそう呼びかけたのとほぼ同時に、洗面所のドアが外開きに開いた。そしてその裏から、バスタオル一枚を体に巻き付けただけの格好のワユが姿を見せたものだから、キルロイは驚いて抱えた段ボール箱を落としそうになった。
「あれっ、キルロイさんじゃん」
「わ、ワユさん!?」
刺激的な格好にも恬然として恥ずる気配のないワユに対し、キルロイの方はすっかり赤面してしまっていて、慌ててワユに背を向けた。
「びっくりしたなあ。変な足音がしたもんだから、空き巣か何かと思っちゃったよ」
「ご、ごめん。チャイム押しても誰も出なくて、でも道場の戸が開けっ放しだったから、誰かいるのかと思って…」
「ああそっか。今はあたしと大将しかいないよ。師範は師範代と来月の出稽古の件で出かけたし、セネリオも何かの用事で出かけたし、ミストはまだ帰ってきてないんだ」
「えっ、それじゃアイクは?」
「さっきまであたしと稽古してたんだけどさー、それが終わった後であたしの前にシャワー浴びて、それから…居間かどこかにいなかった?」
するとそこへ、二階へと続く階段からアイクが降りてきた。片手には通話中の電話の子機を持っている。
「…あ、ちょっと待ってくれ」
アイクは電話に向かってそう言うと、バスタオル姿のワユに何ら動ずる気配もなく、キルロイを見た。
「誰か来たと思ったらキルロイか。どうしたんだ?」
「えっと…桃のお裾分けに来たんだ」
「桃か、ありがとう。ちょっと待っててくれ」
アイクはそれから再び電話を耳に当てた。
「リュシオンか? さっきの話だが…そうだな。…いや、俺は別に気にしないが。…ああ。…たぶん大丈夫じゃないか? …そうか、分かった。じゃあな」
そう言うとアイクは電話を切った。
「じゃああたし、髪乾かすから」
そう言ってワユは洗面所に引っ込んだ。それでようやく動揺を静める事が出来たキルロイだったが、ほっと安堵の息をつく彼を、アイクは怪訝そうに見つめた。
「どうかしたのか?」
「びっくりして…ところでアイク、この桃、どうすればいい?」
「俺が台所に運ぶ。もうじきセネリオもミストも帰ってくるから、一緒に食っていくか?」

三兄弟→三人暮らし
キルロイ→おとんおかんと三人暮らし
ワユ→アイクん家に下宿中

恥ずかしいくらいラブコメ風味ですみません。それにしても、この現代パロはどこまで続くのやら。
あ、あと、夏の合宿先はキルヴァス旅館です。

ファイアーエムブレム::暁現代パロ | 2007.07.15 19:15

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