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暁現代パロ(9):俺と姉貴と父と義父・5

例によってサザが苦労してます。
 
続き
 
「…あー、うん。じゃあ、あのバス停でいいんだな? …ん、分かった。じゃあな」
俺は受話器を元に戻した。うちの電話の親機は廊下に置かれているので、電話する時はそこで話すか、さもなければ子機を持って移動するかのどちらかになる。今日の電話は大した用事じゃなかったから、廊下で立ったままで済ませた。
俺が後ろを振り返ると、いつの間にやら背後にミカヤが立っていたのでびっくりした。
ミカヤの片手にはシャーペンが握られている。さっき俺が部屋から出てきた時には自分の部屋で勉強していた様だったが、音も立てずに背後に忍び寄るとは…忍者か何かか?
「何だよ、ミカヤ。おどかすなよ」
「誰と電話してたの?」
「トパック…」
「トパック…ああ、あの子ね。赤毛の。前にうちに来た」
「うん…」
冷蔵庫の茶を飲もうと思って俺が居間に行くと、ミカヤもついて来た。
居間には誰もいないが、窓を見れば、庭でゼルギウスが掃除をしているのが見えた。父さんは多分自分の部屋だろう。
「ねえ、トパック君と何の話してたの?」
「今度遊びに行くから、その話をしてただけだよ」
「なーんだ、うちには来ないのね」
ミカヤはあからさまにしょげた素振りを見せつつ、俺が茶を入れたばかりのコップを取って、なんと一瞬でそれを空にしてくれた。仕方ないので、俺はもう一度自分で新しいコップを食器棚から取ってくる。
…こういう事がある度に、『大学はそれなりに遠い所を選ぼう』と思う俺だった。
「サザ。今度、トパック君うちに連れてきてくれない? わたしのいる時に」
「やだよ」
俺は即答した。
「どうして?」
「今までミカヤのせいで、俺が何人友達無くしてきたと思ってるんだよ! 俺が家に連れてきて、そしたらミカヤがセクハラして、それで皆離れていったんだぞ!」
「人聞きの悪い事言わないで。わたしはセクハラなんかしてないわ」
「シャツめくって腹覗くのは、立派なセクハラだよ!」
「ちょっと腹筋見せてほしかっただけよ。でも貴方以上の腹筋って、なかなかいないのよねー」
「って…ちょっ、やめっ、めくるなよ!」
俺は慌ててミカヤから離れた。
「とにかく、トパックをうちに連れてくる気はないからな! あいつは残った数少ない友達なんだから」
「いいじゃない、少しくらいわたしの目の保養させてよ。わたしのクラス、男子学生の割合が少ない上に、わたし好みの男子がいないのよ」
「ミカヤが相当な面食いだからじゃないか」
そのせいで振られた男は数知れない。まあ、振られた方がよっぽど幸せだと思うけど。
俺とミカヤが居間で騒いでいたのを聞きつけたのか、父さんが居間にやって来た。
「二人で何を話しているんですか?」
「サザのお友達の話をしていたんです。わたしがうちに連れてきてって言ったら、サザが嫌だって言うんです」
「ミカヤが俺の友達にちょっかい出すからだよ」
すると、父さんが俺とミカヤの間に割って入った。
「はいはい、喧嘩しない。ミカヤ、貴方はサザの交友関係にあまり首を突っ込んではいけませんよ」
「だって、サザの友達って可愛い子が多いんだもの…」
「…まあ、食指が動く気持ちは解りますがね」
解るなよ。

セフェラン様も相当な面食い。
そしてサザはおそらく、一生ミカヤからは逃げられません。諦めろ少年よ。

ファイアーエムブレム::暁現代パロ | 2007.07.05 16:27

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