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暁現代パロ(6):僕とあなたとそれ以外・2

前回の続き…ではありません。
 
続き
 
昼休み。
アイクとセネリオは階段を上がり、3階にある高等部一年生のクラスに赴いた。
「ミスト、いるかー?」
アイクはにゅっとドアから顔を出し、大声で妹を呼んだ。
ミストは窓際でクラスメイトのジルやレテと弁当を広げようとしていたが、アイクに気づいて椅子から立ち上がる。
「お兄ちゃん、どうしたの?」
「弁当に箸箱入ってなかったんだ。渡し忘れたってことないか?」
「ちょっと待ってねー…あっ、あった、わたしの方にお兄ちゃんのも入ってた!」
ミストはアイクの分の箸箱を持ってやってくると、アイクにそれを手渡した。その光景を見ながら、本っ当にミストが兄に似なくて良かった…と男子生徒が心中思っている事に、当の二人は気づくよしもなかった。
アイクは箸を受け取ると、セネリオと共に自分の教室に戻った。その途中、二人は来た時とは別の階段を通った。どちらを通ってもそれ程距離に変わりはない。
ふと、アイク達は踊り場に蹲る中等部の生徒に気づいた。
「あれは…」
「おい、どうした?」
アイクが声をかけると、その生徒は顔を上げた。
「リアーネか。どうした?」
「…ころんだの…」
リアーネは片言でそう答えつつ、顔を上げた。緑色の円らな瞳が涙で潤んでいた。
彼女が右足首を押さえているのを見て、アイクが言った。
「保健室まで連れてくか。キルロイが昼飯に行ってないといいが…」
アイクはセネリオにも手伝ってもらい、リアーネを背負って階段を下りていった。
保健室に二人が着くと、キルロイがいた。どうやら昼食はまだらしく、長椅子に座って机に包帯や鋏を広げ、リュシオンの手首に包帯を巻いていた。
「リュシオン、ちょうど良かった。あんたの妹が落ちてたぞ」
「何、リアーネが?」
アイクは、リュシオンとキルロイが座っている長椅子の反対側にリアーネを下ろしてやった。
「どうしたんだい?」
キルロイがそう聞くと、アイクが、
「階段から落ちたらしいんだ」
と、答える。リアーネもそれにこくりと頷いた。
「ちょっと待ってて…」
キルロイは巻きかけの包帯をリュシオンに一旦持たせると、リアーネの右足首を看た。
「…捻挫してるね。軽傷だとは思うけど、しばらく冷やした方がいい」
キルロイはリアーネの足首に湿布を貼ってネットをかぶせ、それから氷嚢を用意しに行った。今にもすっ転ぶんじゃないかと思いながらその背中を見ていたアイクだったが、リアーネに制服の裾を引っ張られている事に気づく。
「なんだ?」
「あの…ありがとうございます」
「ん、軽い怪我で良かったな」
リアーネは頷いた。その後でリュシオンがこう言った。
「アイク、私からも礼を言う。リアーネをここまで連れてきてくれてありがとう」
「ああ。ところでリュシオン…あんたはどうしたんだ、その怪我は一体?」
「これは…捻挫したんだ」
「何だ、あんたもか。でも何でだ?」
「…私に写真を撮らせてくれと頼んできた輩がいて…かっとなって、殴ってしまった」
「…それで手首を捻挫したのか」
そこへ、キルロイが氷嚢を片手に戻ってきた。
「この間も同じような理由で怪我したばかりなんだよ。骨折しやすい体質なんだから気を付けてって、あれ程言ったのに…」
「あんな屈辱を受けて黙っていられるか! 大体、私の写真など撮って何になるというのだ! 訳が分からない!」
リュシオンが腹立たしげに言い放つ傍ら、セネリオがアイクに耳打ちした。
「一枚千円で取り引きされているらしいですよ」
と。

リアーネ=中3
キルロイ=保健医
リュシオン=高3

キルロイはアイクのご近所さんです。

ファイアーエムブレム::暁現代パロ | 2007.06.25 11:01

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