暁第三部7章、ヤナフとリュシオンの会話後。
…こういう使い方しているプレイヤーさん、いますよね?
「では行くぞ。私が案内するからな」
そう言って意気揚々と飛翔するリュシオンの背中を見て…ヤナフとウルキはひっくり返りそうになった。
「お、王子! 何ですかそりゃ!?」
「何って…これか?」
リュシオンは背中に背負っていた袋を指さした。
大層大きい手縫いの麻袋。おそらくアイクの妹が作ったものだろう。
その袋の口から見えているのは、何本もの剣の柄であった。袋のあちこちが尖っている所を見ると、中には魔道書も入っているかもしれない。
「何持ってるんですかあなたはー!! そんな重い物持ったらすぐへばるでしょー!?」
二人はリュシオンから荷物を取り上げようとしたが、化身状態では上手く取り上げられる筈もない。爪や嘴でリュシオンを傷つけかねないからだ。
一方のリュシオンは、うろたえる二人を見て目を丸くしながら、麻袋をぽんぽんと後ろ手に叩いてこう言った。
「何って…これは補給用の武器だ。この戦いは激戦になるだろうし、沼地で兵の歩みもままならないからな。だから私が呪歌を歌いつつ、必要とあらば飛んで行って武器を補給しているのだ」
「王子…それは、アイク殿の指示ですか?」
もしもそうだったらいっぺん殴ってもいいだろうか、二人はそう考えた。
しかしリュシオンは首を横に振った。
「アイクの指示ではない。セネリオの指示だ」
「あの参謀殿ですか?」
「ああ」
「…」
「おかげで呪歌以外の面でも役に立てる。しかも体力もつくのだぞ、すごいだろう」
「…ひょっとして、三年前の戦いでも、王子、そういう事なさってました?」
リュシオンは頷いた。
「そうですか…私たちが二軍だったから気づかなかっただけなのですね…」
「そのようだな…それがどうかしたのか?」
「…」
「何だかよく分からないが、二人共、とにかくアイクの所に行くぞ」
うちのリュシオンはいつも荷物持ちです。