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テリウス昔話「木幡狐」(1)

昔話とか言いつつ、元ネタは御伽草子。
例によって鷹鷺です。

当初そのつもりはなかったのですが、書き進めたら「人魚姫」っぽくなってしまいました。
全くオチを決めていないので、未完のままで終わるかもしれません…。
 
続き
 
むかしむかし、ある人里離れた森の奥に、鷺の住む森がありました。
その鷺たちを纏めているのは白鷺の一族でした。現在の一族の当主はロライゼといいましたが、彼には三人の子供がいて、いずれも容姿端麗で歌の才能にも秀でておりました。子供たちの名前は上からラフィエル・リュシオン・リアーネといい、とても仲の良い兄妹でした。

ある日の事です。
リュシオンは鷺の里を出て、少し遠出しました。
彼は人間の世界に大変興味を持っていて、ときおり人間を観察するために出かける事がありました。
しかし本来、鷺の民は人間と関わる事を禁じられています。鷺の民には、過去に外の人間達によって迫害されてきた歴史がありました。ですから争い事を厭う鷺の間では、人間といえば、獰猛で恐ろしい種族と見なされています。そんな彼らの前に姿を晒すような行為は、一族の安全のためにも禁じられているのです。
なので、今日のようにリュシオンがこうして出かけるのも、本当はいけないことなのです。が、まだ年若い彼は人間への恐れよりも、関心の方が強かったのでした。
いつもの様に森の上を人目につかないように低く飛び、人間たちが通る山道を見下ろせる場所に降り立ちます。白い翼は目立つので、それを木陰で上手に隠しながら、山道を右へ左へと通って行く人間たちの格好を観察しました。
そこへ、三人の人間の男たちが通りがかりました。
一人は子供のように小柄で童顔です。
もう一人は細身で鋭い目つきです。
そして、その二人の間に立って歩いていたのは、大柄で顔に大きく十字の傷がある男性でした。
リュシオンはその真ん中の男性の力強い風采を目にして、思わず鷺の言葉で呟きました。
『何とたくましい姿なのだろう…』
リュシオンはその男性の姿が遠のいて見えなくなるまで、ずっとその姿を見つめていました。

念の為注記しておきますと…この話の鷺は、化身後の鳥の姿がデフォルトです。
なので、イメージする際はあの鳥の姿で想像してください。

ファイアーエムブレム::蒼炎・暁 | 2007.09.02 20:22 | comment(0)

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