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暁現代パロ(7):俺と姉貴と父と義父・4

俺と義父。
※ほんのり暁ネタバレ。
 
続き
 
「ただいま」
現在、お昼前だ。
俺がこんな早い時間に帰ってきたのは、午後の授業が急になくなったからだ。学校の職員側の方でちょっとした事件があって、授業が行える状態でないらしい。
俺が玄関のドアを開けて入ると、靴の数からして、ゼルギウス以外は外出しているようだった。当然ミカヤは大学、父さんは仕事だろう。
俺は居間を覗いたが、そこにゼルギウスの姿はなかった。もう12時を過ぎているが、昼食を食べた気配もない。
他の部屋にいるのだろうかと思って俺が廊下に出ると、一階のゼルギウスの部屋のドアが半開きになっているのに気づいた。俺とミカヤの部屋は二階だが、父さんとゼルギウスの部屋は一階にある。
ゼルギウスが今使っている部屋は元々音楽鑑賞用の部屋で、あいつが使うようになった今でもコンポが置いてある。他に置くところがないから。だからこの部屋は、父さんとミカヤはよく音楽を聴く為に出入りしているが、俺はあまり寄りつかない。そんなに音楽聴かないしな。
半開きのドアを一応叩きつつ、俺は中を覗いた。
「ゼルギウス?」
すると、床に座り込んでいたゼルギウスが驚いて顔を上げた。クローゼットの前で新聞を敷き、その上で何かを広げていた。
その場面を俺に見つかった途端、ゼルギウスは何やらあたふたと狼狽えていた。俺の突然の帰りに驚いたにしても、また俺と未だにうち解けていないにしても、ちょっと反応が過剰すぎやしないだろうか。
「ただいま、午後急に休みになった。で、あんたは…何してるんだ?」
「その…これは…」
「…ひょっとして、それ、竹刀か?」
分解されていたので一瞬では判らなかったが、部品の一つ一つをよく見ると、竹刀のように見えてくる。
「あ、ああ」
「竹刀の手入れをしてるのか。あんた、剣道なんてやってたんだな…初めて知った。父さんもミカヤも何も言わなかったから」
「二人には…話していないからな…」
「父さんにも言ってないのか。何故なんだ?」
「…た、確かに剣道をやってはいたが…あまり強くなかったのだ。というか、弱かった。だから…セフェラン様には申し上げないでおいた」
「ふうん」
俺はアイク先輩が剣道をしていることを思い出しながら部屋に踏み込み、新聞の前でゼルギウスの竹刀を見つめた。
「でも、今もそうやって手入れしてるってことは…今でもやりたいのか、剣道?」
俺がそう訊くと、ゼルギウスが固まった。
…何で固まるんだ。そんなに訊いちゃいけないこと訊いたのか、俺。
「…なんかよく分からないけど、とりあえず昼飯まだなんだろ。俺が作るから、あんたはその作業続けてろよ」
「あっ、ま、待ってくれサザ!」
あ、ようやく俺の名前呼んだ。
「その…この事、セフェラン様には言わないでくれないか」
「いいけど…なんでだ?」
「セフェラン様は剣道がお嫌いな様なのだ……おそらくは亡くなった奥方を思い出すからだろうが…」
「ああ、なるほど」
父さんは変な所でセンチメンタルだ。親戚の事と死んだ奥さんの事…この二つを父さんにあまり訊いてはいけないというのが、我が家の暗黙のルールになっている。どっちも吹っ切れているようで、実は未だに吹っ切れていない事柄らしい。
「分かった。それなら父さんにもミカヤにも黙っておくよ」
ミカヤに喋れば絶対父さんに漏れるに決まっているから。

ゼルギウスの内心:
「ああ、許してくれサザ…私は君に嘘をついた。本当は弱くなどなかったのだ…すまない…」

ファイアーエムブレム::暁現代パロ | 2007.06.30 15:33 | comment(0)

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