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よく似ている

※暁第一部終章。ほんのりネタバレの予感。
 
続き
 
「騎士様、私たちの為に戦ってくださってありがとうございます」
ミカヤはぴたっと漆黒の騎士の傍に寄り添った。
「でも、わたし…出来ればお顔とお顔をつき合わせてお礼が言いたいんです」
「何…?」
「だから騎士様、その兜を取って、わたしにお顔を見せていただけませんか?」
ミカヤはそう言うと、うるうるっと金色の瞳を潤ませて漆黒の騎士を見上げた。すると、兜の奥で漆黒の騎士がうっとくぐもったうめき声を上げる。
その瞬間、ミカヤの瞳がきらーんと怪しく輝いた。
「お願いします、騎士様。わたし、騎士様のお顔がどうしても見たいんです」
「…乙女よ…そなたの頼みでも、それは出来ぬ」
「わたしのこと、お嫌いですか?」
ミカヤの瞳にみるみる涙が浮かんできたものだから、漆黒の騎士はまたもや狼狽えた。
階段の上に駆け上がって盗賊をなぎ倒していたサザが、引き続き敵を倒しながらこちらを見ている。ミカヤに何をした、何泣かせてるんだ、という非難を込めた目つきで。
「…乙女…私は……」
「やだ、すみません…わがまま言って、わたしったら…」
ミカヤは涙を手で拭うと、笑顔を浮かべた。
「今は戦いの最中ですものね、こんなことしてる場合じゃありませんでした…」
「…」
「でも、いつか見せてくださいますよね?」
「…」
「騎士様?」
「…よく…似ている……」
「え…?」
「…いや……」

『私と話をしたいのでしたら、是非、その兜を取っていただけませんか? 君と直接顔をつき合わせて話がしたいのです』
『…ですが…非礼は承知しているのですが、これはどうしても…これを外で外すのは、どうしても…』
『ここには君と私しかいませんよ。だから安心して脱いでいいのです』
『…』
『私は、君の非礼を咎めているのではないのですよ。ただ…君の真実の姿が見てみたい。この兜の下の顔、この鎧の下の体を見てみたい。兜を通さずに、君のその通りの良い声を聞いてみたいのです』
『…』
『…やはり、私の事をまだ信頼してもらえていない様ですね。それも仕方のない事でしょう…所詮私は浮き草稼業の者、君と出会って日も浅いのですし…』
『いっ、いえ、決してそのようなことは…だからどうか、お泣きにならないで下さい! すぐに脱ぎますから…!』

一体あの時、漆黒さんはミカヤの姿に何を重ねたんだろう…と今でも不思議です。
それにしても漆黒モード(何その呼び名…)は本当にすごいと書いていて思いました。お前誰だ。

ファイアーエムブレム::蒼炎・暁 | 2007.06.27 09:50 | comment(0)

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