記事一覧

暁現代パロ(5):俺と姉貴と父と義父・3

何処までもミカヤとセフェラン様が黒いです。
  
続き
 
ある日曜日のこと、俺は自分の部屋で机に向かい、学校新聞を読んでいた。
新聞の大半は先日の運動会に関するもので、その為にいつもより頁数が多くなっている。
第一面に載った写真をまじまじと眺めていると、例の如くミカヤが勝手に入ってきた。
「サザ、今何してるの? 暇なら、久しぶりにスマデラやらない?」
「やだよ」
「どうして?」
「だってミカヤ、俺が勝つと怒るじゃないか」
「わたしが負けるって言うの?」
「…」
「何読んでるの?」
ミカヤはサザの後ろからずずいと顔を出し、机の上の学校新聞を覗き込んだ。
「学校新聞?」
「ああ。この間の運動会のやつ…」
「ふーん」
ミカヤはしげしげと記事の見出しや新聞を眺め、ふと、第一面の写真の一点を指さした。
「これ誰? この筋肉ダルマ」
「筋肉ダルマってなあ…ミカヤはアイク先輩のすごさを知らないんだよ」
「そんなにすごい人なの?」
「剣道部には所属してないんだけど、大会じゃ優勝の常連だよ。それに一見無愛想で怖そうだけど、実は面倒見がよくてさ。懐も広くて、俺みたいな中等部の連中にも気軽に声かけてくれるんだ」
「ふーん…この人、サザと同じ青いハチマキしてるわね。同じチームだったの?」
「あ、うん。同じ青チームだった。俺のクラスには他にも青チームの奴がいたんだけど、その中に、運動会の時に過呼吸起こして倒れた奴がいたんだ。そいつの面倒看てくれたのもアイク先輩だった」
俺は余程の熱弁を振るってしまったらしい。ミカヤが目を丸くして俺を看ているのに気づくと、俺は少し恥ずかしくなってしまった。
でもアイク先輩を尊敬する気持ちは本当だ。あの人になら何処までもついて行けそうな気がするのだが、生憎俺が所属するのは演劇同好会(ミカヤに無理矢理入部させられた)。だから多分、あの人には名前も覚えてもらえていないだろうな。
「それよりも、このアイク先輩の隣にいる糸目は?」
「それはオスカー先生。新しく来た家庭科の先生だよ」
「あっ、この子可愛い。誰?」
ミカヤが指さしたのは、俺の隣の隣のクラスにいる超絶美少女だった。写真では白いハチマキを巻いているところを見ると、白チームだったらしい。
「それ? リアーネ…だったかな、名前。帰国子女かなんからしいけど、よく知らない」
「他に可愛い子いないの?」
「そう言われても…ミカヤの好みなんて知らないよ」
「あっ、この子可愛い! このチアガールやってる子!」
そう言ってミカヤが指さしたのは、黄色チームの櫓の前でバトンを振っている女の子たちだった。
「どれだよ」
「真ん中の、茶色い髪の子よ」
「ああ…それは、アイク先輩の妹だよ」
「妹なの? 全然似てないわね。この場合は間違いなく似なくて良かったと思うけど…」
その時、父さんが部屋のドアをノックした。父さんはミカヤと違い、そのくらいの常識は知っている。それ以外の常識も知っていてくれたらもっと良いのにと、俺としては思うんだが。
「サザ。おや、ミカヤもいたんですか。二人で何をしてるんですか?」
「サザの学校新聞を見てました」
「そうですか」
父さんは何だか元気がない。
しかしミカヤと俺には、その顔色の意味するところがすぐに判った……腹が減ってるんだ。そういえばそろそろ12時だもんな。
「ゼルギウス、まだ帰らないのか?」
「ええ。少し出かけると言ったっきり…昼には戻ると言っていたのですが、帰ってきません。私の躾が足りなかったんでしょうか」
躾って何だ、躾って…。
「お父様、どうします? ゼルギウスさんが帰るまで待ちます?」
「いえ、先に食べましょう。サザ、何か適当に作ってください」
父さんはきっぱりそう言い切った。これは相当腹が減っているらしい。
「分かったよ」
俺はそう答えて立ち上がった。ゼルギウスには悪いが、これ以上待たせると父さんだけでなくミカヤも空腹状態で不機嫌になりかねない。
きっと帰ってきたらゼルギウスは父さんにお仕置き喰らうんだろうな…どんなお仕置きかは知らないし、知りたくもないけどさ…。

どんなお仕置きかは私も知りません。
あと、櫓と聞いて「?」と思う方がいらっしゃるかもしれませんが、管理人の高校の運動会はこんな感じでした↓

  • くじ引きで赤・白・黄・紫の四チームに分かれる
  • 各チーム毎に櫓を造り、そこを拠点に応援する
  • 何故かチアリーディングの競技会がある

赤・白・黄と来て何故か紫なのは、雲の色をイメージしている為の様です。よく知りませんが。

ファイアーエムブレム::暁現代パロ | 2007.06.25 10:49 | comment(0)

Comment List