しつこくも続きます。
俺がそもそもミカヤと出会ったのは、まだ小っちゃいガキだった頃。
施設を勝手に出てふらふらしていたところを、ミカヤに連れられてこの家まで引っ張って来られた。
父さんは昔も今もミカヤに結構甘くて、ミカヤが俺を引き取りたいってだだこねたのを了承して、俺を引き取る手続きをした。
あの頃は二人ともまともだった。…今より幾らかは。
父さんは元々どこかの良家の生まれで、でも好きな女性と熱愛の末に自由結婚したせいで、勘当されてしまったらしい。
本人がそう言っているし、多分本当の事なんだろうと俺は思う。
しかし、その話に続けて父さんが言った、
「私も、あの頃は純粋だったんですよ」
という台詞までは、はっきり言って信じられない。
父さんの結婚相手…要はミカヤの母さんだが、その女性はとうに亡くなっている。ミカヤがかなり小さい頃に病気で死んだらしく、俺もミカヤも写真でしか顔を知らない。父さんによると『とても逞しい女性だった』そうだが、単に父さんが人一倍非力なだけなんじゃないだろうか。あえて指摘しなかったけどさ。
とかく腹黒くて人を騙してこき使うのが得意な父さんだけど、ミカヤの母さんに惚れてたのは本当らしい。ミカヤの母さんが逝った後で父さんが付き合った相手は、多分ゼルギウスが初めてだ。
だから、父さんがゼルギウスの事を何とも思っていないって事はないと思う。
しかしながら、真っ昼間に居間でゼルギウスを誘惑するのだけはやめてほしい。あれは困る、本当に。
ミカヤは平気らしいが、俺は平気じゃないんだよ。
そういう悩みを、俺はいつも親友のトパックに話している。
しかし父さんやミカヤに対する不満を俺がいくらぶちまけても、トパックからの理解を得られた事は一度もない。
「サザ、お前なー…自分じゃ分かんないもんかもしれないけど、お前けっこう恵まれてるんだぞ？ 父さんも姉さんもすっげー美人でさ。しかも二人とも頭良くて、父さんの方はエリート、姉さんの方は高校じゃ学年一位だったんだろ？ すごいじゃん」
「中身が問題なんだよ、中身が…」
トパックには父親も姉貴もいないから解らないんだろうな。
いやいたとしても、こんな父親や姉貴はそうそういないだろう（と、思いたい）。
悩めるサザは正直、書いていて楽しいです（サザごめん…）。
トパックはムワリムとウフフアハハな仲良しこよしの二人暮らしです。
次はエディ＆レオかアイク達の予定。