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暁現代パロ(1):俺と姉貴と父と義父・1

FE暁、現代パロ。ギャグです。
誰か他に登場させてほしいキャラがありましたら、コメントなり一言フォーム君なりでリクエスト受け付けます。

続き
 

 
うちって、やっぱりどこか変だと思う。

「どうしたの、サザ。さっきからぼうっとして…箸が止まってるわよ」
隣で夕食の酢鶏をつついていたミカヤが、俺に声をかけてきた。
「ん…何でもないよ」
そう答えて俺は味噌汁をすする。
ミカヤは俺の姉で、血は繋がってないけどずっと仲良くやってきた。ミカヤはけっこう可愛くて、守ってあげたいタイプに見える。なので昔からもてていたが、俺の知る限りでは、彼氏は一度もいた試しがない。それは性格に問題があるせいじゃないかと言ったら、即殴られたことがある。
「サザ、酢鶏が冷めますよ」
そう言うのは、俺の向かいに座っている父さんだ。父さんは男に見えないくらいの美形で、物腰も柔らかで、近所の奥様がたには結構きゃーきゃー言われている。
父さんとミカヤは血が繋がってるけれど、俺はそうじゃない。けれど父さんは特に分け隔てなく接してくれている。
父さんの仕事は、ベグニオン何とかかんとかという長ったらしい名前の会社の社長秘書だ。結構忙しいらしくて、毎日こんな風に一緒に夕食を囲める訳じゃない。かといって仕事熱心な性格なのかというと、全然そんな事はないが。
…まあ、ここまでなら一応、うちも『普通の家庭』で通ると思うんだよな。
「…そうそう、私、明日は遅くなりますから。11時過ぎになると思いますので、先に夕食を済ませていなさい。いいですね、ミカヤ、サザ、ゼルギウス」
そう。
ここからがちょーっと変わってるんだよな…父親が二人いるんだ。
父さんの隣に座ってるゼルギウスは、まあ一言で言えば、父さんの恋人だ。
元々は父さんと同じ会社で働いていて、一番の出世頭だったらしいが、父さんに口説き落とされて今では主夫業を務めている。父さんはゼルギウスに『帰ってきた時、貴方に出迎えてほしいんです』なんて言ったようだが、本音は自分が家事をするのが面倒だからに違いない。
父さんが本当にゼルギウスの事が好きなのかは、俺としては正直半信半疑だが、ゼルギウスの方は父さんに惚れきっている。父さんの性格を知っている俺にしてみれば正気の沙汰とは思えない話だが、ゼルギウスは真面目で堅物だから一生気づかないかもしれない。

夕食を終えると、俺は自分の部屋に引っ込んだ。
明日の学校の準備を済ませ、宿題に手をつけていると、風呂から上がったミカヤがいきなり部屋に入ってきたので、俺は椅子から立ち上がった。
「勝手に入ってくるなって言ってるだろ!」
「あら、あなたの部屋はわたしの部屋よ。何か文句があるの?」
「…」
いつもこうだ。ミカヤにとって、俺のプライバシーというものは存在しないも同然らしい。
かといって、俺が同じことをミカヤにしたら、即ぶん殴られることだろう。すごく理不尽だと思うが。
「ねえ、サザ。昼間、あなたの英和辞書借りたの。返すわね」
「自分のは?」
「大学のロッカーに置いてきたの」
「そう」
俺が英和辞書を受け取ると、ミカヤはふと俺のベッドを見て言った。
「そうだわサザ、今夜中にエロ本はベッドの下から移しておいた方がいいわよ。明日ゼルギウスさんが掃除機かけるって言ってたから」
「また人の部屋漁ったな! やめてくれって言ってるだろ!?」
「だって、暇だったんだもの。いいじゃない、減るものじゃなし」
「あのな…」
俺は中3で、ミカヤの方は今年大学に入ったばかりだ。高校より暇になったと本人は言っているが、大学ってそんなもんなんだろうか。中学生の俺には分からない。しかし暇だからといって、俺の部屋を漁るのはやめてほしい。でも、そう言っても聞かないんだろうな。
一応俺の部屋のドアには鍵がついている。しかしミカヤが合い鍵を隠し持っているものだから、全くと言っていいほど役に立っていない。
「サザ、あなたお風呂は?」
「これが終わったら入るよ。父さんたちは?」
「下で映画劇場観てるわよ」
「ミカヤは観ないのか?」
「ええ。興味ないし、邪魔したら悪いでしょ」
俺も邪魔する気はなかった。父さんのことだから、明日11時までゼルギウスが自分を待って起きていてくれるように、今夜は様々な手練手管を用いてゼルギウスにべったべたするに違いない。自分の親ながら、その腹黒さはどうかと思う。
「ミカヤ」
「なに?」
「ミカヤはさ…ゼルギウスの事、どう思ってるんだ?」
俺は椅子に座ってそう聞くと、ミカヤはカーペットの上にぺたんと座り込んだ。
「どうって、いい人よ。扱いやすいし。家事が出来るし健康だし、頭も顔もいいし。馬鹿じゃないけど扱いやすい男としては、理想的なほうだと思うけど?」
「…」
父さんもきっとそう思ってるんだろうな…俺はそう思った。
「サザは何だかまだあの人とぎくしゃくしてるみたいね。そろそろ慣れたら? それとも実は嫌いなの?」
「そういう訳じゃないけどさ」
そういう訳じゃないけど、なんか、親しくなりにくい。ゼルギウスには悪いが、俺の方はあの人と何を話したらいいのかもよく分からなくて、時々二人きりになると無言の時間が続いてしまう事が多かった。

※話の都合上名前が出なかったので注記しておきますが、ミカヤ&サザのおとんは、セフェラン様です。

ファイアーエムブレム::暁現代パロ | 2007.06.21 15:35 | comment(0)

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